「せっかくの連休に海外へ行くなら、できるだけ多くの場所を見て回りたい!」
限られた日数だからこそ、地図を見ながらここも行けそうだなと予定を詰め込んでしまう。
僕も今回のシルバーウィークのマレーシア旅で、見事にその罠にハマりました。
ジョホールバルでレンタカーを借り、クアラルンプール、さらに北上してペナン島へ。そしてまた南下して戻る、マレーシア西海岸縦断ルートです。
「車なら時間に縛られず、効率よく回れて最高だ!」
そう信じて意気揚々と走り出したのですが、、、旅を終えた今、静かにこう思っています。
「短い連休でこの回り方をするのは、絶対におすすめしない!」と。
なぜ、自由なはずのレンタカー旅が裏目に出てしまったのか?
今回は、僕が身をもって学んだ、短期日程のレンタカー大移動をおすすめしない理由を解説していきます!
マレーシア旅行でレンタカーを選んだ理由

今回レンタカーを選んだのには理由がありました。
まず大きかったのが、今回は2人で旅行していたこと。
飛行機や鉄道で移動する場合は、当然ながら大人なら2人分の料金がかかりますが、レンタカーなら車1台分の料金を2人で割ることができます。
長距離を移動することを考えると、2人なら、意外とレンタカーの方が安く済むのではないかと思ったのです。
さらに、マレーシアはガソリン代が比較的安く、高速道路の料金も日本と比べると格安。

*参考までに、東名高速道路の東京料金所から愛知県の豊田インター(299.7km)までは6980円。
長距離を走ったとしても、日本で同じ距離をレンタカーで移動するより、燃料代や高速料金の負担はかなり軽く感じます。
なので飛行機や鉄道で都市間を移動するより、2人でレンタカー代を割った方がコスパがいいかもしれない!と旅行前は考えていました。
そしてもう一つ、僕自身がドライブ好きだったことも大きな理由です。
ただ都市から都市へ移動するだけではなく、自分でマレーシアの道路を走ってみたい。
途中で気になった場所があればふらっと寄ってみたいし、鉄道やバスでは行きにくい場所にも行ってみたい。
あとは、二人ともスーツケースを持っていたのもあります。重い荷物を車に置いておけるのはどれだけありたいことか。。。
そう考えると、レンタカーはかなり魅力的でした。
公共交通機関を使う旅行では、駅から駅、バスターミナルからバスターミナル、空港から空港という移動になりやすいけど、車ならその途中にある小さな町や郊外の店、サービスエリア、景色のいい場所などにも自由に立ち寄れます。
これはレンタカーならではの魅力だと思います。
だから僕にとっては料金面でも、自由度の面でも、そして旅そのものの楽しさという意味でも、レンタカーはかなり合理的な選択に見えていました。
実際、レンタカーを選んだこと自体は今でも間違いだったとは思っていません。
問題は、その自由さを使って、短期間で遠くまで行きすぎたことだったのです。
4泊5日、マレーシアを車で南北縦断
今回マレーシアをレンタカーで走ったのは、2026年9月21日から25日まで。
シンガポールからジョホールバルへ入り、そこで車を借りました。
そこから、
ジョホールバル
↓
クアラルンプール
↓
ペナン
↓
クアラルンプール
↓
ジョホールバル
というルートで移動。
まさにマレーシアを縦断するような旅行です。
マレーシア半島の西側には南北を結ぶ高速道路が通っていて、ジョホールバルからクアラルンプール、さらにペナン方面まで基本的には一本につながっています。
しかもマレーシアは日本と同じ左側通行。
レンタカーを借りれば、電車や長距離バスの時間を気にする必要もありません。
荷物を毎回持って移動する必要もなく、途中で気になった場所があれば好きなタイミングで寄れる。
旅行前の僕には、かなり合理的な移動方法に見えていました。
「車なら行ける」が落とし穴だった
車のおかげで、ジョホールバルからクアラルンプール、そしてペナンへと、行きたかった場所は大体回ることができました。
でも、実際にやってみて気づいたのは、行けるかどうかよりも、到着後、現地でどれだけゆっくり時間を使えるかのほうが大事だということです。
地図を見ていると、朝に出れば昼過ぎには着く。そうすれば午後からたっぷり観光できる。。。そんなふうに錯覚してしまいます。計画段階の僕も、完全にその感覚でした。
ところが、実際に運転するとまずナビ通りの時間には着かない。途中で休憩したり、給油したりする必要があります。
まあ、でもここまでは想定内。 本当に問題だったのは……。
渋滞
都市部に足を踏み入れた途端に牙を剥くのが、何キロも続く絶望的な渋滞と初見殺しの複雑な市街地。
そう、ここマレーシアは渋滞が非常に酷く、朝夕のラッシュ時は特に混雑するのです。

知恵の輪のように入り組んだクアラルンプールの巨大ジャンクション。
ペナン島・ジョージタウンの、迷宮めいた狭い一方通行の連続。
そこへ容赦なく突っ込んでくる地元ドライバーたち。。。
彼らの荒波に揉まれながら、スマホの小さなナビ画面だけを命綱にホテルを目指すドライブは、もはやサバイバルゲームといっても過言ではないでしょう。
エンドレスな渋滞を抜け、やっとの思いで駐車場を確保し、石のように重いスーツケースを引きずってチェックイン。
念願のホテルのドアを開けた頃には、時計の針は無情にも進みまくり、僕の体力・精神力ゲージは完全にゼロを指していました。
「午後3時にはホテルにチェックインして、海に入って夜市でローカルフードを食い倒れるぞ!」
……そんな出発前の輝かしい野望は、エアコンの効いたフカフカのベッドにダイブした瞬間、部屋の窓から見える美しい夕暮れの水平線の彼方へと、見事に消え去っていきました。
「いや、もうすっかり陽も落ちちゃったしな」、「長旅だったし、5分だけ休憩しよう」なんて自分たちに都合のいい言い訳を並べているうちに、二人ともベッドから起き上がる気力はみるみるゼロへ。
結果、「今日はもう一歩も外へ出たくない」という己の怠惰な本能に完全降伏し、ホテルのレストランで無難な夕食を済ませて一日が終わる。。。なんて日もあったほどです。
たしかに「移動」はコンプリートしました。
でも、そこに全エネルギーを持っていかれて、本来の目的である街を味わい尽くす余力が1ミリも残っていなかったのです。本末転倒とはまさにこのこと。
中でも、今回の旅で一番厄介だったのが渋滞。
マレーシアの高速道路自体は広くて快適なのですが、クアラルンプールなどの大都市に近づいた瞬間、景色は一変。
見渡す限りのテールランプという強固なバリケードが築かれ、頭の中で描いていた完璧なタイムスケジュールはあっさりと崩壊します。
もちろん、日本にも渋滞はあります。
でも、日常の渋滞と、海外旅行中の渋滞では時間の重みが違うんです。
普段の生活なら30分遅れてもなんてことないことも多いですが、日数が限られた旅行となると話は別です。
渋滞にハマっているその30分や1時間は、本来なら一生に一度しか見られない絶景を見たり、最高においしいローカルフードに出会ったりできたかもしれない、貴重な旅の時間です。
短い旅行では、その時間がそのまま失われてしまうのです。
おまけに、長時間の運転という疲労のオマケ付き。どんなに運転に慣れていて運転が好きな人でも、海外という慣れない場所ではすぐに疲れてしまいます。
「予定より1時間遅れた」
文字にすればただそれだけのこと。でも、その小さなロスタイムと疲労が積み重なると、旅の余裕は想像以上に削られていきます。
一番感じたのは「ペナンにもっといたかった」

今回の旅行を振り返って、一番強く残っているのはペナンをもっとゆっくり楽しみたかったということです。
ペナンでは、PARKROYAL Penang Resortに宿泊しました。
ペナン島北部のリゾートエリアにあるホテルで、プールや海を眺めながら、何もしない時間を楽しめるような場所です。
せっかくリゾートまで来たのだから、本来ならもっとホテルでゆっくりしてもよかったなあと思いました。
朝も時間を気にせず過ごして、プールや海に入り、気が向いたら街へ行く。夕方になったら戻ってくる。
そんな過ごし方でもよかったはずです。
でも今回の旅程では、常に次の移動がありました。
「明日はKLまで戻らないといけない」
そして、その後にはさらに、ジョホールバルまで戻って車を返さないといけないという予定があります。
ペナンにいるのに、頭のどこかではもう次の移動を考えている。
予定を詰め込みすぎてしまったのです。
「行けた」と「満喫できた」は別だった
結果だけを見ると、今回の旅行はかなり成功しているようにも見えます。
ジョホールバルから出発して、クアラルンプールへ行った。
さらにペナンまで行った。
そして再びジョホールバルまで戻ってきた。
短い日程の中で、マレーシアをかなり広く移動できました。
だから、「とにかく色々な場所へ行く」という目的だけなら、確かに達成しています。
でも旅行が終わってから考えると、どこへ行ったかよりも、その場所で何をしたかのほうが記憶には残ります。(特に二人以上の旅行の場合)
ペナンまで行った。でも、もっとペナンにいたかった。
この感覚は、実際にやってみるまで想像していませんでした。
レンタカーが悪いわけではない

車で走っていると、こうしたちょっと面白いものに偶然出会えるのもロードトリップの楽しさ
とはいえ、マレーシアでレンタカーを借りたこと自体は、微塵も後悔していません。
むしろ、自らハンドルを握ったからこそ味わえた極上の体験が山ほどありました。
自分の手で異国の地を駆け抜ける高揚感。
ローカルな熱気漂うサービスエリアでの買い食い。
都市部を離れるにつれて、視界の奥まで飲み込まれそうになるほど延々と続く熱帯のジャングル。
日本とは微妙に違う道路標識や、見慣れない車を横目に流れる景色。
それに、鉄道や長距離バスに揺られているだけなら、絶対に降り立たなかったであろう名もなき町への寄り道もできました。
こうした「予定不調和の寄り道」こそが、ロードトリップ最大の醍醐味何だなと思います。
根っからのドライブ好きである僕にとって、マレーシアの大地を自らの運転で走破したことは、今回の旅の中でも指折りのハイライトになっています。
勘違いしてほしくなくて、マレーシアでのレンタカー旅そのものをおすすめしないという話ではありません。
僕が声を大にしていいたいのは短い日程で、レンタカーを使って遠くの都市を次々とスタンプラリーのように回る旅行は、おすすめしないということ。
車という乗り物は、旅人に圧倒的な自由を与えてくれます。
おまけにマレーシアはガソリン代も驚くほど安く、高速料金も良心的。もし2人以上なら割り勘でさらにコスパが跳ね上がります。
しかし、この「自由」と「安さ」という甘い蜜が、旅人の計画を狂わせるのです。
「せっかく車があるんだし、交通費も安いんだから、もう少し遠くまで足を伸ばしてみよう!」
地図を見ながらそうやって欲張ってしまう魔力が、レンタカーにはあります。
同じ4泊5日なら、僕なら次はこうする
もし同じくらいの日数でもう一度旅行するとしたら、僕なら目的地を減らします。
例えばペナンへ行くのであれば、ペナンでの滞在時間をもっと長く取ります。
ジョージタウンを歩く日。
リゾートで何もしない日。
気になった場所へ車で行く日。
そんなふうに、あえて余白を残します。
思い切って目的地を減らしてしまえば、都市間の長距離移動は飛行機や鉄道といった乗り物で移動する、という選択肢も取りやすいかもしれません。
レンタカーは、公共交通では行きづらいエリアを回るために使う。
都市間の何百kmという移動は、鉄道や飛行機に任せる。
そんな組み合わせ方の方が、限られた連休では効率がいいかもしれません。
まとめ:「行けるから行く」は、意外と危ない
ジョホールバルで車を借り、クアラルンプールへ行き、さらにペナンまで北上。
そこから再びクアラルンプールを経由して、ジョホールバルへ戻る。
4泊5日であれば、この旅行は十分できます。
ただ、実際にやってみると、「行ける」と「楽しめる」は少し違うんだなと感じました。
限られた連休の中では、つい少しでも多くの場所へ行きたくなりますが、予定を詰め込むほど、その土地でゆっくり過ごせる時間は減っていきます。
今回の僕も、いろいろな場所に行けた一方で、「もう少しペナンにいたかった」という気持ちが最後まで残りました。
だから次同じような旅をするなら、行き先を増やすことよりも、あえて減らすことを選ぶと思います。
一つの街に長く滞在して、予定を決めすぎず、その場所で過ごす時間そのものを楽しむ。
マレーシアを実際に車で縦断してみて、そんな旅の方が、結果的には満足度が高いのかもしれないと感じました。