【スリランカ】国民の99%が辞任を求めたゴタバヤ政権についてわかりやすく解説!

最近ニュースで毎日のように取り上げられているスリランカの抗議運動、BBCニュースでも安倍元首相暗殺事件の数日後に号外として取り上げられていました。

スリランカは日本人にとってあまり馴染みのない国かもしれませんが、スリランカにおける日本による対外債務(わかりやすく言うと、外国からの借金)の割合は全体の1割を占めているため、スリランカでは日本の影響力が経済面でとても強いものとなっています。

そんなスリランカですが現在、1948年の独立以降最悪の経済危機に陥っていて、最近では国家が「破産」宣言してしまうほど事態が悪化しています。それによりスリランカ国内で大統領の辞任を求める激しい抗議デモが起きてしまうことに。僕はスリランカに友人がいるのですが、彼女によると国民の99.99%が現在の大統領の辞任を求めているといってもおかしくないということです。しかし、何故こんなに国民の怒りを買うことにしまったのでしょうか?今回は抗議デモに至った経緯をわかりやすく説明していきたいと思います。

* 長いので2ページに分けました。

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  1. 背景
    1. コロナと戦争による影響
    2. インフレ
    3. 大統領の一族支配
    4. 外国からの借金を返せなくなった
  2. 借金が返せないスリランカ
  3. 中国の「債務の罠」とは?
  4. #Go Home Gota
  5. 参考文献

背景

結論から言うと、スリランカが破綻した要因は主に四つあります。

コロナと戦争による影響

インフレ

大統領の一族支配

外国からの借金を返せなくなった

一言でいうと、スリランカはコロナやインフレの影響で経済が伸び悩み、外国からの借金(対外債務)を返せない状態になってしまいました。

まず、インフレについて。

スリランカは農業輸出国で、紅茶(午後の紅茶のあれです!)などを輸出していたのですが、政府が化学肥料の利用を禁止したため、農産物の生産量が落ちてしまいました。

スリランカ政府は化学肥料に対する補助金を農家に出していたので、化学肥料を禁止すれば補助金を支払わなくて済むし、化学肥料を用意する金額も出さずに済むと考えました。そこで土壌や地下水の汚染を名目にゴタバヤ・ラジャパクサ大統領は段階的に化学肥料の使用を禁止しました。

この結果、紅茶の生産量は約4億2500万ドル分が減少、米の生産は半年間で20%減少して、それまで達成していたスリランカ国内の米の自給率が逆転し、約4億5000万ドル分、米を外国から輸入しなければならなくなりました。

他にもコロナの影響で外国からの観光客がスリランカに来なくなってしまったのも原因です。観光業はスリランカのGDPの約12%を占めていて産業別のGDPでは観光業は三番目の地位を占めていたので、コロナの渡航制限はスリランカに大きなインパクトを与えました。

さらに追い打ちを掛けるように、今年の2月にロシアがウクライナと戦争を開始。スリランカはロシアに多くの紅茶を輸出(輸出量二位)していたので、制裁によって輸出できなくなり泣きっ面に蜂状態に。

マヒンダ・ラジャパクサ(左)とゴタバヤ・ラジャパクサ(右),

Deutsche Welle “Sri Lanka: The Rajapaksa brothers walk a diplomatic tightrope with China and India“より引用

このような状況でも国の為政者が国民のために活動していればまだ救われたかもしれませんが、スリランカの場合は残念ながらそうはなりませんでした。というのも、この国の大統領であるゴタバヤ・ラジャパクサは自身の兄弟に多大な権力を与え、汚職を繰り広げていきました。ゴタバヤの兄であるマヒンダ・ラジャパクサは2019年に弟によって首相に任命され以後、一族支配体制を強めていきます。

国民の理解を得ていない経済政策や減税により国のお金がどんどん無くなっていき、大統領は中央銀行にお金をもっともっと刷るように指示しました。

ガソリン不足でトゥクトゥクを手で押している様子
The New York Times “Fuel-Starved and Stuck in Crisis, Sri Lanka Orders Work From Home“(2022.6/17)より引用

お金を大量に刷っても、世の中にあるモノの量は変わらないことが多いのでたいていの場合、お金を刷るとお金の価値は下がってしまい物価が上昇します。これをインフレというのですが、スリランカはこのインフレの状態に陥ってしまいました。これに加えてコロナやウクライナ戦争の影響で物価高騰、燃料不足、停電が発生してしまい、国民の生活はより苦しくなってしまいます。

国民の生活が苦しくなっていくのにもかかわらず、大統領たちが私腹を肥やしているようでは国民が怒るのは当然なことですよね?

借金が返せないスリランカ

スリランカは外国からの借金(対外債務)がとても多い国です。

スリランカ政府はスリランカの外国からの借金は351億ドルに上ると発表しています。(2021年4月時点)351億ドルはだいたい4兆6700億円くらい(2022年8月3日)になるのですが、こう数字が大きいと一体どれくらいの規模なのか想像できませんよね。

参考までに日本の歳入は2020年で年間102兆6580 億円で、(国税庁発表)スリランカの歳入は2019年で年間約1兆3848億円です。(スリランカ中央銀行発表)つまり、スリランカの外国からの借金は歳入の4倍にも膨れ上がっており、この数字をみればわかるとおり、スリランカは歳入よりも外国からの借金が多い国となっています。

スリランカの対外債務の内訳
Department of External Resources, “Foreign Debt Summary” (2021)の資料を基に筆者作成

内訳としてはアメリカが47%、アジア開発銀行が13%、日本と中国が10%となっています。

割合の多いアメリカからの借金も問題なのですが、それ以上に問題視すべきなのは中国からの債務だといえます。よく中国や一部の人から「スリランカの対外債務内訳について言えば中国は全体の10%しか占めておらず、アメリカの方がその4.7倍多い。これを債務の罠と呼ぶのは適切ではない」という批判を聞きますが、問題は割合よりも利息の高さだと考えるべきだと僕は思っています。

☑ Point

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