僕は洞窟が大好きで、日本でもこれまでたくさんの洞窟を訪れてきました。
秋芳洞、龍河洞、竜ヶ岩洞。。。どれも本当に美しい場所です。
そんな洞窟好きの僕が、次に向かったのはギリシャ。
今回は、ギリシャ北西部のイオアニナにあるペラマ洞窟(Σπήλαιο Περάματος / Perama Cave)へ。
この洞窟はギリシャでも最大級といわれる規模を誇り、観光コースは約1100m。内部は一年を通して18℃前後に保たれており、夏でも冬でも過ごしやすい環境です。
これまで訪れた洞窟の中で間違いなく一番の圧巻。今回はそんなペラマ洞窟を徹底的に案内していきます!
ペラマ洞窟とは?

ペラマ洞窟(Σπήλαιο Περάματος / Perama Cave)は、ギリシャ北西部イオアニナの郊外の街・ペラマにある鍾乳洞。パムヴォティダ湖のすぐ近く、イオアニナ市街地から僅か5km程度離れたところにある小高い丘の内部に広がっています。
約150万年も前に洞窟が形成されていたそうですが、発見されたのは結構最近のことです。1900年あたりには洞窟の入口が発見されていて、本格的に洞窟内が注目されていったのは1940年頃のことです。
第二次世界大戦中、地元の人々がイタリア軍からの空襲から身を守るために避難していた際に、その存在が知られるようになりました。自然が何万年もかけてつくったであろう空間が、戦争という人間の歴史と偶然交わった瞬間です。
洞窟内部には、無数の鍾乳石や石筍が立ち並びます。
観光ルートは約1100m。約19のホール(空間)が連なり、それぞれに異なる表情を見せてくれます。気温は一年を通して約18℃前後に保たれており、季節を問わず安定した環境です。
洞窟内には小さな湖もあり、水温は一年を通してほぼ一定。さらに水の硬度やpHなど、独特の物理・化学的環境が保たれています。
こうした環境要素が健康面に良い影響を与える可能性があるとして、研究の対象にもなっているそうです。
チェコ・モラヴィア地方のオロモウツにある研究センターでは、ペラマ洞窟のような安定した洞窟環境が、喘息などの呼吸器疾患や感染症、アレルギー性の皮膚疾患に対して一定の効果を示す可能性があると報告されています。
もちろん医療行為として確立された万能療法というわけではありませんが、自然の環境そのものが日本でいう湯治のように、“治療の場”として活用されているという事実は興味深いところ。
アトピー持ちの僕にとっては、正直かなり気になる話です!
ペラマ洞窟の気になる内部を徹底ガイド!

ペラマ洞窟はイオアニナ中心街から車で10分~15分、徒歩で1時間程の場所にあります。イオアニナ空港からも非常に近いため、比較的行きやすい場所となっています。
街中の石畳の道を歩いていると、カフェや雑貨店が並んでいて、どこか洗練された空気が漂っています。観光地らしい賑わいがありながらも、どこか落ち着いた雰囲気。その通りの中に突然、洞窟の入口へ続く階段が現れます。
街を見下ろす丘のふもとに、控えめに佇む洞窟の入口。正直、初めて見ると「ここが洞窟?」と思ってしまいます。自動ドアのような近代的な入口で、むしろ何かのお店や施設のように見えるほどです。
ペラマ洞窟はガイドツアーでのみ入場可能。チケットを購入し、決められた時間に案内が始まります。料金は大人8ユーロ、学生4ユーロ。
*ISIC(国際学生証)は受け付けていないようで、恐らくギリシャ国内かEU圏の学生のみ割引適用と思われます。

でもその先は、RPGでいう“ダンジョン突入前”のあの感じ。
外の光に満ちた石畳の世界から一歩足を踏み入れると、空気が変わります。
ひんやりとした18℃前後の空気が、静かに肌に触れる。
街のざわめきが、ふっと遠ざかります。聞こえてくるのはガイドの女性の声と、ツアー客の控えめな笑い声。その音が石の壁にぶつかり、ゆっくりと戻ってくる。音の反響が、時間の長さを教えてくれるかのように。
洞窟内はどうやら人間の時間とは少し違う速度で世界が動いているみたいです。

そしてしばらく洞窟内を歩くと、視界が一気に開けました。
通路というより、巨大な空間!高い天井から無数の鍾乳石が垂れ下がり、光に照らされて幻想的に浮かび上がっています。
天井が高い場所もありますが、何より驚いたのはその奥行き。どこまで続いているのか分からないほど広く、しかもその空間いっぱいに鍾乳石がびっしりと広がっている。密度がまったく違います。

石のカーテンのように波打つもの、柱のように太く育ったもの、針のように細く伸びるもの。形のバリエーションがとにかく豊かで、しかもそれが途切れない。
曲がるたびに景色が変わり、まるでRPGのダンジョンを進んでいるような感覚。
ガイドツアーで進むのですが、成り立ちや発見の話を聞きながら歩くことで、この空間が150万年という時間の積み重ねで生まれたことが実感できます。
しかもこの洞窟、つい100年ちょっと前に偶然見つかったというのだから驚きです。街のすぐそばに、こんな世界が隠れていたとは・・・
ペラマ洞窟は一本道ではありません。いくつものホールが連なり、階段を上り、また下りる。時には天井が低くなり、思わず頭をかがめる場所もあります。
足元はしっかり整備されていますが、自然の地形をそのまま活かしているため、ちょっとした探検気分が味わえます。
「次はどんな空間が出てくるんだろう」
そんな期待が、途切れることなく続きます。
洞窟がくれた出逢い

みなさんも既にお分かりのように洞窟の中では、音の広がり方が少し違います。ガイドの声が壁に当たりやわらかく反響する。自分の足音もほんの少し遅れて返ってくる。
光もまた独特なもので、暗闇をすべて消すのではなく、必要な部分だけを照らす。だからこそ影が生まれ、岩の凹凸がくっきりと浮かび上がる。
自然がつくった造形と、人工の光。その組み合わせが、このペラマ洞窟の空間をよりドラマチックにしているのです。
ガイドさんの案内は最初、ギリシャ語で始まりました。当然ですが、ここはギリシャ。ツアー客の多くもギリシャ人です。
僕はギリシャ語がまったくわからないのですが、洞窟の壁に反響するその響きは、どこか美しい音楽のようにも感じられました。意味はわからないのに、不思議と耳に残る。
ひと通りギリシャ語での説明が終わると、ガイドさんはふとこちらを見ました。そして、自然に英語へと切り替えてくれたのです。
「You are from Japan?」
その一言と、やわらかな微笑み。
観光地で英語対応をしてもらうこと自体は珍しくありません。でも、少なくともここにいる”外国人”は僕たちくらい。自分たちのために言葉を選んでくれたことが、なぜかとても嬉しかった。
鍾乳石の説明の合間に、少しだけ日本の話もしました。桜のこと。地震のこと。遠い国の出来事なのに、彼女は目を輝かせながら聞いてくれます。そして彼女は、こう言いました。
「いつか日本をゆっくり回ってみたいの」と。
何百万年もかけて形をつくってきた洞窟の中で、未来の旅の話をしている。
その時間は、ほんの数分だったはずなのに、なぜか深く心に残っています。
気の遠くなるような時間が流れる洞窟の中で、僕たちは未来の旅の話をしていました。
そのこと自体が、どこか不思議に感じられました。
先程も説明したように、この洞窟は約150万年前に形成されたといわれています。
一滴ずつ落ちる水。その気の遠くなるような積み重ねが、今目の前にある巨大な鍾乳石をつくった。
地上では帝国が生まれ、戦争が起き、国境が引き直されてきた。イオアニナの街も支配者が何度も変わっている。

その水が空気に触れると、今度は逆にカルシウムが固まり、ほんのわずかに石を積み重ねていく。
何万年もの時間をかけて行われるその気の遠くなるような繰り返しが、巨大な鍾乳石をつくるのだ。
でもこの洞窟はほとんど同じ速度で、同じリズムで、ただ形をつくりつづけてきた。
そしてその長い時間の中で、僕たちはほんの数十分、言葉を交わした。
150万年という時間から見れば、瞬きよりも短い出来事かもしれない。それでも、その一瞬は確かに存在していました。
探検しているつもりが、いつの間にか時間そのものの中を歩いているような感覚になる。
自然の時間と、人と人との一瞬。その重なりこそが、ペラマ洞窟が人を惹きつける理由なのかもしれません。
迷宮の終わりに見えた景色

ガイドツアーでは45分間、迷宮のような空間を上へ下へと彷徨いつづけます。鍾乳石の森を抜け、階段を上り、また下る。方向感覚はとっくに失われています。どれくらい歩いたのか、もはやよくわからない。時間の感覚も、少しずつ曖昧になっていきます。
まだ続くのかと思ったそのとき。前方がわずかに明るくなってきます。
「あ、出口だ」
そう思った瞬間、急に現実に引き戻される感覚が。

最後はいかにも観光ルートらしい、きちんと整備された階段を上っていきます。
その途中、洞窟の壁に窓のような開口部があるのを見つけました。
「なぜこんなところに窓が?」
自然の洞窟の中に、外の光が差し込む小さな穴。人工的に設けられたものなのか、それとも偶然できた地形なのか。
そこから差し込む光は細く、まっすぐで、地下の世界に一本の線を引くようでした。

ほんの一瞬、洞窟の中にいながら地上とつながっている感覚になる。その不思議さが、妙に心に残ります。
そして、出口をくぐった瞬間。。。
一面に広がる景色。

小高い丘の中腹に設けられた出口から、イオアニナの街並みとパムヴォティダ湖を一望できます。洞窟の暗闇から出た直後だからか、光がいっそう眩しく感じられる。
すぐ真下には民家や畑があり、洗濯物や屋根の色まで見える。すぐ足元に広がるのは、観光用に整えられた景色ではなく、誰かの暮らしや日常そのもの。
観光地化されすぎていない、この距離感がとてもユニークでした。
地図でこの小高い丘を見てみると、見た目はどこにでもありそうなただの小高い丘。どこか可愛らしくさえ見えます。でもその内部に、あれほど壮大な空間が眠っている。
そう思うと、自然のスケールにはただ驚くしかありません。

出口からさらに約350m歩くと、お土産屋さんがあります。地下150万年の時間から、再び現代の観光地へと戻っていく。
その切り替わりもまた、この洞窟体験の一部なのかもしれません。
アクセス
名称:ペラマ洞窟(Σπήλαιο Περάματος / Perama Cave)
住所:452 21 イピロス地方イオアニナ県ペラマ スピライウ19番地(19, Spilaiou, Perama 455 00, Greece)
Google評価:4.8/5 (8861レビュー)
営業時間:9:00 – 17:00(定休日無)
イオアニナには鉄道が通っていないので、ペラマ洞窟に行くにはバスかタクシーか、車(レンタカー)もしくは徒歩になります。徒歩だと市街地からちょうど1時間くらいなのでそんなに遠くはありません。お散歩気分でたどり着けます!
バス:8系統
16系統
運賃:1.8ユーロ(約330円)
乗り場はイオアニナ時計塔(Clock Tower of Ioannina)のすぐ近くにあり、約25分間隔でバスが運行されています。
イオアニナ空港からはバスの便がないので、タクシー(約10~15ユーロ程度)を使うのが一番手っ取り早いです。
一番手っ取り早いのはレンタカー!ただし、ギリシャは左ハンドル。そしてマニュアル車が主流。
オートマに慣れている人にとっては、洞窟に入る前からちょっとした冒険が始まることになります 笑
ちなみに、車で行く際は、洞窟周辺にある石畳の道に縦列駐車します。(ギリシャではスイフトを運転したけど、やっぱりコンパクトカーは非常に縦列駐車がやりやすい!)

「【ギリシャ・イオアニナ】ペラマ洞窟大冒険!RPGのような地下世界へ! アクセス・見どころ解説!」に2件のコメントがあります