【ギリシャ・イオアニナ】パムヴォティダ湖徹底ガイド!湖に浮かぶ謎の島を大冒険!

ギリシャと聞くと、多くの人は青と白の織りなす美しい絶景のシーンを思い浮かべルカと思います。

崖の上に並ぶ白い街並みに青いエーゲ海、青い空。。。

僕もずっとそういうギリシャに憧れていました。

でも、実際にギリシャを歩いてみると思っていたのとは少し違う景色にも出会いました。

そこにあったのは、海ではなく。強い日差しではなく、どこかやわらかい光。そして、観光地らしい華やかさよりも、静かに時間が流れる空気。

場所は、ギリシャ北西部のイオアニナ。(Ιωάννινα / Ioannina)街のすぐそばに広がるパムヴォティダ湖(Lake Pamvotis / Λίμνη Παμβώτιδα)と、その真ん中に浮かぶ小さな島。

正直に言うと、はじめてイオアニナを訪れたとき、最初はなんか湖があるな…くらいにしか思っていなかった。ギリシャといえばやっぱり海だよね?という先入観もどこかにあったと思います。

でも、湖のほとりに立った時、なぜかはわからないけど、その光景が心にぐっときたのです。

目の前に広がる静かな湖と、その向こうに浮かぶ小さな島。

いわゆる絶景!という感じではないし、写真を撮りまくりたくなるような派手さもない。それなのに、なぜかずっと眺めていたくなる景色だったのです。

今回は、そんな青と白のイメージをちょっと裏切るギリシャの魅力をお届けします!

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  1. パムヴォティダ湖ってどこ?
  2. アリ・パシャって誰?
  3. 湖の真ん中に浮かぶ、小さな島
  4. アリ・パシャ博物館
  5. 定番の”ギリシャ”の雰囲気から抜け出して

パムヴォティダ湖ってどこ?

ギリシャの地図

地図でギリシャを見ると国の北西、アルバニアとの国境に近いあたりにひとつの街があります。まずそれがイオアニナです。

エーゲ海沿いではなく、山に囲まれた内陸の街。アテネからは飛行機で約1時間、もしくは車やバスで5〜6時間ほどかかります。いわゆる“王道ギリシャ”とは少し離れた場所にあります。

そのイオアニナの街を地図で見るとまず目に入るのが、街のすぐ横にぴたりと寄り添うように広がる大きな湖。これがパムヴォティダ湖 です。

パムヴォティダ湖

パムヴォティダ湖の面積はおよそ22㎢。秋田の田沢湖と同じくらい、長野の諏訪湖より少し大きいくらいの規模といえば、なんとなくイメージが湧くかもしれません。標高は470メートル程度と高地に位置しています。

湖面にはぽつんと小さな島が浮かんでいますが、この島こそがイオアニナの歴史と深く結びついた場所です。イオアニナの市街地からは、小さな船に乗って10分ほど。

湖に浮かぶその島は、のんびりとした空気が流れる場所ですが、実は歴史の舞台でもあります。

ここは、オスマン帝国時代にこの地を治め、「イオアニナのライオン」と呼ばれた
テペデレンリ・アリ・パシャTepedelenli Ali Paşa / 1740 – 1822)が最期を迎えた場所です。

ボートに乗るアリ・パシャ(1819.3)

島にある修道院の一角には、彼がオスマン帝国軍に包囲され、命を落としたときの弾痕が今も残されています。

今は土産物店が並び、観光客がゆっくり歩く穏やかな島。でも、その静かな景色の下には、かつて帝国に反旗を翻したひとりの男の野望と、時代の緊張感が確かに存在していたのです。

観光地ではあるけれど、どこか日常の空気が漂っている。

それが、パムヴォティダ湖とイオアニナの魅力なのだと思います。

アリ・パシャって誰?

ところで、アリ・パシャって結局どんな人物なのでしょうか。

アリ・パシャ(1740 – 1822)は、オスマン帝国時代にイオアニナ(当時はヤニナ)を拠点としていた地方総督です。名目上は帝国の官僚でしたが、実際には独自の軍事力と財政基盤を持ち、半ば独立した支配者のような存在でした。

イギリスやフランスとも外交関係を築き、その名はヨーロッパにも知られていました。地方の総督という肩書き以上の力を持っていた人物です。

当時のオスマン帝国では、中央集権化を進める動きが強まっていました。スルタン(イスラム世界の王様みたいな存在)は マフムト2世。(在位1808 – 1839)

オスマン帝国の領土(1774)
写真はWikimedia CommonsBosphore9氏作成)より引用

マフムト2世は帝国を立て直すため、地方の有力者を抑えようとしていました。

1817年にセルビアが半独立状態となったこともあり、中央は地方勢力に一層敏感になります。勢力を広げ、ほぼ独立に近い状態だったアリ・パシャは、やがて危険視されるようになりました。そして1820年、正式に討伐命令が出されます。

帝国軍に追い詰められたアリ・パシャは、ここパムヴォティダ湖に浮かぶ島へ退き、修道院に立てこもりました。

しかし1822年2月、アリ・パシャは交渉の末に殺害されます。

現在、島にあるアリ・パシャ博物館Μουσείο Αλή Πασα και
Επαναστατικής Περιόδου
/ Museum Ali Pasha and
Revolutionary Period)では、彼が撃たれたと伝えられる部屋が公開されています。

床には当時のものとされる弾痕が残っていると案内されていますが、これは歴史的伝承に基づく説明であり、科学的に完全に検証されているわけではありません。

かつて戦乱の舞台だったこの島も、いまは穏やかな観光地です。土産物店が並び、カフェではゆっくりと時間が流れています。

けれど、その足元はかつて帝国の政治闘争の最前線だったのです。

歴史を知ってから湖を見ると、静かな水面の向こうに、ほんの少しだけ違う時間が重なって見えてきます。

それが、この島の面白さなんだなあと感じます。

湖の真ん中に浮かぶ、小さな島

ボートから眺めるイオアニナの街

朝早く、イオアニナ市街地の湖畔の遊歩道を歩いていると、白い霧が水面をゆっくりと覆っていきます。島も、その向こうにある山も霞んで、輪郭がぼんやりとにじんでいく。

息をのむような絶景、という感じではありません。でも静かで、どこか幻想的な時間が流れています。

すでにお伝えしたように、パムヴォティダ湖には小さな島があります。観光客も訪れますが、ちゃんと人が暮らしている島です。

市街地にある小さな船着き場からボートに乗って約10分。湖面をゆっくり進む時間は、それだけで少し特別でした。エンジンの音と水の揺れだけが響き、街の喧騒は遠ざかっていく。。。

船に乗っていたのは、地元の人たちやギリシャ国内からの人がほとんど。西欧から来たらしい旅行者の姿も少し見かけましたが、アジア人は僕ひとりでした。

島に着くと、石畳の細い路地に低い家並み。のんびり歩く猫の姿もあります。

正直、ギリシャというより、どこか山あいの小さな町のような空気です。観光客はそれほど多くなく、全体的にひっそりとしている。訪れた日は気温も低く、その静けさがいっそう際立っていました。

ギリシャといえば、青い海と白い街並み。そしてオーバーツーリズムで人混みがもの凄いという話もよく聞きます。そんなイメージが強かっただけに、ここで感じた落ち着いた雰囲気には本当に驚きました。でも、このギャップが心地よい。これはこれで、悪くない。

お土産屋さんは数軒ほど営業していて、ミード酒(蜂蜜酒)の試飲をやっているお店もありました。このあたりでは有名らしく、気軽に味見できます。島自体に人が多くないので、混雑や待ち時間の心配はほとんどなさそうです。

島には修道院もあり、美しいフレスコ画を見ることができます。ギリシャ各地で見られる東方正教の修道院ですが、ここでは観光地というより、生活の中に溶け込んでいるような印象。

島はとても小さく、一周およそ2.5km。ゆっくり歩いても40分ほどあれば回れます。レストランやカフェは点在していますが、宿泊施設は見当たりませんでした。

観光地ではあるけれど、どこか日常の延長のような空気が流れている。そんな場所です。

アリ・パシャ博物館

島の奥にある聖パンテレイモン修道院。その一角に、アリ・パシャ博物館Μουσείο Αλή Πασα και
Επαναστατικής Περιόδου
/ Museum Ali Pasha and
Revolutionary Period)があります。

石造りの建物の中に入ると空気が少しひんやりしていて、観光地というよりも歴史の現場に足を踏み入れたような感覚になります。

博物館を出迎えてくれるのが一門の大砲です。

説明によると、これはイオアニナ包囲戦(1820〜1822年)の際に、アリ・パシャが島を防衛するために使用した数十門のうち、唯一ここに残されたものだそうです。

さらに面白いのは、その由来です。

展示案内では、この大砲はイングランド製で、当時としては最高水準の技術を誇るものだったと説明されています。そして、これらはイングランド王から「エピルスの獅子」と呼ばれたアリ・パシャへの贈り物だったと伝えられているのです。

島だけでなく、イオアニナ城塞にも同様の大砲が残っており、当時この地域の城や要塞には250門以上の大砲が配備されていたとされています。

つまり本当の意味での「地方総督」というより、もはや独立国家に近い軍事力です。

館内に足を運ぶと武器、衣装、装身具、家具など、当時を物語る品々が静かに並んでいます。金装飾の銃や水パイプ、妻キラ・ヴァシリキの衣装なども展示されていました。

そして博物館の奥には、アリ・パシャが最後を迎えたと伝えられる部屋があります。

広くはありません。石壁に囲まれた質素な空間です。

アリ・パシャが過ごした部屋

1822年、ここでオスマン帝国軍との交渉が行われ、その後銃撃が起きてアリ・パシャは殺害されました。床には当時の弾痕とされる跡が案内されていますが、飽くまでも伝承的説明であるため、科学的に完全に検証されたものではありません。

その部屋に立つと、外の穏やかな湖の風景との落差に少し戸惑います。

いまは観光客が静かに歩くこの島が、かつては2年以上にわたる包囲戦の舞台だった。

湖を見渡すと、あの静かな水面が、実は戦略上きわめて重要な防衛線でもあったことがわかります。

歴史を知ると、風景の重みが少し変わる。この博物館は、その感覚を体験させてくれる場所でした。

定番の”ギリシャ”の雰囲気から抜け出して

ギリシャ=白と青

そのイメージはもちろん間違っていません。

でも、パムヴォティダ湖には、もう少し違ったギリシャがあります。

華やかさよりも、静けさ。
開放感というより、じわっと内側にしみてくるような時間。

湖畔を歩いていると、不思議と呼吸がゆっくりになります。観光地を回るというより、ただそこにいる。その時間を味わう旅。よくあるギリシャのイメージを、良い意味でほんの少し裏切ってくれる場所です。

もしギリシャ旅で、少しだけ違う景色を見てみたいと思ったなら、ぜひイオアニナへ行って、パムヴォティダ湖のほとりや湖に浮かぶ島を歩いてみてください!

きっと、これまで思い描いていたギリシャとは少し違う時間が流れているはずです。

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