みなさんはアルバニアという国をご存知でしょうか?
「アルメニアでしょ?」と思った方、惜しい!名前がちょっと違います。
アルバニアはヨーロッパの東側にある国なんですが、その歴史はどこか常識から外れています。
近代ヨーロッパでは極めて珍しいムスリムの国王が即位し、冷戦期には1978年から1990年まで事実上の鎖国政策を実施。
さらに1997年には、国民の約3分の1がネズミ講により全財産を失い、国家機能が崩壊するという前代未聞の事態に陥りました。
事実は小説より奇なりという言葉が、これほど似合う国もそう多くありません。
そんな波乱の歴史を背負うアルバニアの中で、今回紹介したいのがクルヤ(Krujë / クルーヤ)という小さな街です。
首都ティラナからほど近い場所にありながら観光客はまだ少なく、アルバニアの歴史と素朴な日常がそのまま残る、まさに知る人ぞ知る穴場スポット。
今回は、アルバニアという国を理解するうえでも欠かせない街・クルヤの魅力を紹介していきたいと思います!
クルヤってどんなところ?


クルヤ(Krujë)のあるアルバニアは、ギリシャの西隣に位置するバルカン半島の国です。アドリア海を挟んでイタリアと向かい合っていて、地図で見るとヨーロッパの端っこにひっそりと存在しています。
アルバニアは観光大国ではないため、ギリシャとイタリアというメジャーな国の中間にあるのにもかかわらず、日本ではまだあまり知られていません。おそらく、日本人の99.9%の人は一生のうちに行くことのない国と行っても過言ではないでしょう。
だからこそアルバニアは、ガイドブックに載っていないヨーロッパをのぞいてみたい人には、ちょうどいい旅先なんです!
クルヤは、そんなアルバニア中部にある人口約1万6千人の小さな街。
首都ティラナから車で1時間もかからない距離ですが、街に足を踏み入れると、都会の喧騒とはまるで別世界です。山の斜面に張り付くように家々が並び、時間がゆっくり流れているのです。

ただこの街は、「のどかな街」の一言で表現できるような場所ではありません。アルバニア人にとってクルヤは、国の誇りそのものともいえる特別な場所なのです!
その理由が15世紀の英雄スカンデルベグ(Skanderbeg、1405年 ― 1468年1月17日)。
彼は当時ヨーロッパ最強だったオスマン帝国に、25年間も抵抗し続けた伝説の戦士です。クルヤ城はオスマン帝国軍による大規模な包囲を3回耐え抜きました。
もし彼がいなければ、アルバニアという国は存在していなかったかもしれない。。。そんな人物の拠点だったからこそ、クルヤは今もアルバニア人の心の中で特別な意味を持ちつづけている街なのです。
ティラナからの行き方
クルヤはティラナから日帰りで行けます。行き方は主に3つです👇
① 地元バス(一番安い!)

- ティラナの街外れにあるバスターミナル発着発着
※このターミナルは市街中心から市バスで約20分程の距離なので、中心部からはタクシーや市バスで移動します。 - 所要時間:約1時間前後
- 料金:非常に安く、およそ150レク(約300円)前後
② タクシー
- 所要時間:約45~60分
- 料金:25〜30ユーロ(約5000円程度)程度が目安(ユーロでの支払い可のところも多い)
- 荷物が多い人や複数人で行く人、時間を節約したい人にオススメ!
③ レンタカー
- 自由度が高く、ティラナ周辺も含めて観光したい場合に便利!
- 国際免許証があれば、日本人でも運転可
- 料金は安い車で1日20〜25ユーロ程+燃料費(約25ユーロ程度)が一般的
⚠アルバニア含め、ヨーロッパはオートマよりマニュアル車が非常に多く、また日本とは違って右側通行の国なので運転には十分注意が必要です!
クルヤバザール|カラフルで活気ある伝統市場

バス停からクルヤ城へ向かう途中、必ず通るのがクルヤ・バザール。
石畳の坂道に木造の小さな店が並ぶこの通りは16世紀から続く歴史ある市場で、クルヤ観光のハイライトのひとつでもあります。
といっても、いわゆる観光地の派手な市場を想像すると、少し拍子抜けするかもしれません!クルヤのバザールは驚くほど素朴で、どこか懐かしい空気が漂っています。
店先に並ぶのは、
・手織りのラグ
・伝統的な刺繍製品
・銅製の食器
・オスマン時代の名残を感じさせる工芸品…
どれも観光客向けではありますが、過剰に洗練されすぎていないのが、このバザールの魅力!
店番のおじさんたちが談笑し、観光客がいなくなれば静寂が戻る。ここを歩いていると、単なる売るための場所ではないことが伝わってきます。クルヤの日常と歴史が、今も自然に混ざり合っているのです。
バザールの魅力は、ただ古い建物が並んでいることだけじゃない気がします。
英雄スカンデルベグの兵士たちも、この石畳を踏みしめていたのかもしれない。そう想像して歩くだけで、遠い昔の話だった歴史が、急に自分ごとのように迫ってくる。
ここは単なるお土産探しの場所というよりも、過去と現在が地続きになっている通り道。 歩き終えたあと、そんな言葉が自然と浮かんでくる場所でした。
名称:クルヤバザール(Pazari i Krujës / Krujë Bazaar)
住所:アルバニア ドゥラス州クルヤ県クルヤ ルルーガアルバノポリス
(Rruga Albanopolis, Krujë, Albania)
Google評価:4.4/5 (924レビュー)
営業時間:8:00 – 20:00
クルヤ城|天空の城から望む絶景

バザールの石畳を抜けると、道はそのまま緩やかな坂へと続きます。 土産物屋が途切れ、周囲がふっと静かになった頃、視界の先に現れるのがクルヤ城(Kalaja e Krujës / Castle of Krujë)です。
ここは、かつて英雄スカンデルベグがオスマン帝国に立ち向かった場所。
オスマン帝国軍による大規模な包囲を3回(オスマン・ヴェネツィア戦争、アルバニア・トルコ戦争)耐え抜きましたが、実際にこの場所に立ってみると、その理由が理屈抜きでわかります。
切り立った崖、開けた視界。「これは正面からは攻められないな」と、肌で感じる説得力があるのです。
*ただし、後にクルヤは1477年 ― 1478年のクルヤ攻略戦で陥落することになります。
賑やかなバザールのすぐ先に、街の命運をかけた要塞がある。 この日常と歴史の近さこそが、クルヤという街の面白さなのかもしれません。
名称:クルヤ城(Kalaja e Krujës / Castle of Krujë)
住所:アルバニア ドゥラス州クルヤ県クルヤ ルルーガカラ
(Rruga Kala, Krujë, Albania)
Google評価:4.6/5 (9470レビュー)
営業時間:9:00 – 18:00
スカンデルベグ博物館|民族的英雄と抵抗の歴史

城壁の内側に入り、ひときわ重厚な石造りの建物が見えてきたら、そこがスカンデルベグ博物館(Muzeu Kombëtar Gjergj Kastrioti Skënderbeu / Skanderbeg Museum)!クルヤを訪れるなら絶対に外せない場所です!
クルヤ城はアルバニアの民族的英雄、スカンデルベグが25年以上にわたってオスマン帝国に抗い続けた伝説の拠点。アルバニアの人々にとっては、まさに聖地とも呼べる場所です。
この博物館の面白さは、スカンデルベグを単なる神格化された無敵のヒーローとして描いていない点にあります。
展示の主役は派手な映像演出ではなく、当時の書簡や緻密な戦略図といった資料です。
これらを丁寧に追っていくと、スカンデルベグがいかに圧倒的な戦力差に苦しみ、限られた条件の中で知恵を絞り、必死の選択を繰り返してきたかが伝わってきます。
その泥臭いまでのリアリティに触れると、遠い時代の英雄が、一人の生身の人間として胸に迫ってくるのを感じるでしょう。
さっきまではただの古い石壁や険しい岩山に見えていたものが、彼らが命がけで守り抜こうとした生きた防波堤として立ち上がってくる。。。この博物館はそんな深い没入感を与えてくれる場所です。
単なる観光スポットとして通り過ぎるには、あまりにももったいない!ここは、クルヤという街の見え方を、もう一段深く、鮮やかにしてくれる場所なのです!
名称:スカンデルベグ博物館(Muzeu Kombëtar Gjergj Kastrioti Skënderbeu / Skanderbeg Museum)
住所:アルバニア ドゥラス州クルヤ県クルヤ ルルーガカラ
(Rruga Kala, Krujë, Albania)
Google評価:4.6/5 (1689レビュー)
営業時間:9:00 – 18:00
まとめ
正直なところ、アルバニア自体が日本人にとってはまだ馴染みの薄い国ですし、その中でもクルヤの名を知る人は殆どいないかもしれません。
けれど、だからこそここは、観光客で溢れかえっていない本物の手触りが残る場所なのだと感じます。
デコボコの石畳を歩き、バザールの店員さんと言葉を交わし、切り立った崖からの絶景に息を呑む。
目の覚めるようなカラフルな織物を眺めながら、この国の誇り高い歴史に思いを馳せる。。。そこには、飾られていないリアルなアルバニアが息づいています。
首都ティラナから日帰りでふらっと訪れることができるアクセスの良さも、大きな魅力です。もしアルバニアを旅するなら少しだけ足を伸ばして、ぜひクルヤを訪れてみてください!
日本人の殆どが一生のうちに訪れることのないような場所。
けれど、そんな街で過ごす時間こそが、振り返ったときにいちばん自分らしい、かけがえのない想い出になる気がします。
派手な観光地ではないけれど、そのぶん旅をしたという確かな手応えをくれるクルヤ。アルバニアに行くなら、ここは絶対におすすめしたい場所です!