「おフランス」に幻想を抱くのはもうやめよう!!

フランスといえばみなさんは何を想像しますか?

ワインにチーズ、ファッションや芸術、セーヌ川、エッフェル塔と華やかで煌びやかなイメージが思い浮かぶ人が多いかと思います。どうしても優雅で美しくてロマンチックな「おフランス」というイメージが頭に浮かびがちです。

「おフランス」というブランドは、ドラえもんのスネ夫が「おフランス製の〇〇」と自慢するように、どこか特別で上品なイメージを持たれがちです。

「おフランス」のイメージ

ただ、この「おフランス」イメージがすべてかといえば、答えは「ノン」かもしれません。旅行や留学でフランスを訪れた人たち(特に若い女性)が、理想と現実のギャップに打ちのめされ、うつ病を発症するケースも少なくないのです。

これが、いわゆる「パリ症候群」と呼ばれる現象です。

フランスに行ってみると、意外にも僕たちが思い描く優雅で美しいイメージとは違う面が見えてきます。今回は、そんな「おフランス」幻想から少し離れて、リアルなフランスの姿に焦点を当ててみようと思います!

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  1. パリは昔から汚い!?
  2. 移民&多様性の国・フランス
  3. スリや詐欺、暴行事件も
  4. 「おフランス」を越えて

パリは昔から汚い!?

フランスの首都・パリといえば、美しく煌びやかで、愛に満ちたロマンチックな街として語られることが多いです。しかし、実際のパリはその”理想”とは少し異なり、「パリは汚い」という現実的な声も聞かれることが少なくありません。

たとえば、パリを横断するセーヌ川は、実は大阪にある道頓堀川の4倍もの大腸菌が検出されるほど汚染が深刻です。このため、セーヌ川で泳ぐことは100年以上も禁止されていました。

2024年夏にパリオリンピックのトライアスロン競技がセーヌ川で行われましたが、出場選手が体調を崩すケースもあり、浄化の難しさが浮き彫りになっています。

茶色く濁った汚いセーヌ川
スポーティングニュースの記事より引用

街中も同様で、パリは実は歴史的に「汚い街」としても知られていました。200年ほど前、ジョルジュ・オスマン(Georges-Eugène Haussmann)の大改造が行われる前のパリの街並みは、今の美しい姿とは程遠いものでした。

ゴミやし尿が道端に溢れ、路地裏は迷路のような構造で日光もほとんど入らず、不衛生極まりない環境でした。これによりコレラなどの伝染病が頻繁に流行し、住民の生活は厳しいものだったといわれています。

1853年のシテ島
建物がひしめきあっているので、日光が届かず不衛生なところも多かった

ところで、女性陣がよく愛用しているハイヒールと香水、どうしてフランスで流行ったのか、その背景を知っていますか?

実は、その流行には当時の不衛生な環境が大きく関係していると言われています。

16〜18世紀頃のパリの街は、ゴミやし尿が至るところに散らばり、道は乾かない泥やぬかるみで歩きづらい状態でした。

さらに、住民が窓から排泄物を外に投げることも日常茶飯事。街を歩くには、まさに悪戦苦闘の環境だったのです。

この汚れた道を歩く際、足元が直接地面に触れないようにと、足を高く保てるハイヒールが流行し始めました。

フランスの王様ルイ14世も当時の高級靴としてのハイヒールを好み、宮廷での装いとして愛用していました。

やがてハイヒールは庶民にも広がり、流行の最前線を歩くファッションアイテムとなりました。ハイヒールには実用性とスタイルの両方が兼ね備わっていたわけです。

またパリの空気には下水やゴミ、排泄物の悪臭が常に漂っていました。衛生管理の概念も今ほど確立されておらず、入浴の習慣も少なかったため、体臭を隠す必要がありました。

そこで香水が発達し、ヴェルサイユ宮殿でも貴族たちが香りをまとうようになります。香水の華やかな香りで不快な匂いを隠し、身だしなみの一環として愛用されるようになったのです。

こうした歴史を知ると、「優雅で美しいパリ」のイメージが、実は実用性から生まれた文化の賜物であることがよくわかりますね!

移民&多様性の国・フランス

あまり知られていないかもしれませんが、実はフランスには多くの移民(外国からフランスにやってきた人たち)が住んでおり、全人口の10人に1人が移民だと言われています。

なのでフランス国内には多様な文化が共存しており、街を歩くとモスクや礼拝所など、移民たちがもたらした宗教的な施設があちこちに見られ、今やフランスの風景の一部となっています。

フランスは伝統的にキリスト教のカトリックが主流とされてきましたが、移民の増加に伴い、イスラム教をはじめとする様々な宗教も人々の日常生活に溶け込むようになりました。

女性ムスリムの服装であるヒジャブを着用したフランスの人たち
タイム誌の記事より引用

このようにフランスの街並みや文化には、移民がもたらした多様な文化や価値観が色濃く影響しており、それが現在の「多様性のあるフランス」という姿に結びついています。

フランスに憧れて訪れた人たちが感じるギャップのひとつに、この予想外の多文化社会があるのかもしれません。

映画やガイドブックで描かれる「優雅で洗練されたフランス」の理想像と、実際の多様性あふれるフランス社会とのギャップに驚く人も少なくありません。

特にパリでは、様々な国からの移民が生活し、街の一部を担っています。伝統的な”白人の純フランス人”が中心というフランスのイメージとは異なり、多様な人々が交わる「リアルなパリ」の姿が広がっているのです。

スリや詐欺、暴行事件も

フランスに憧れて訪れる人にとってもう一つ驚きとなるのが、フランスは意外と治安が悪いという点です。

華やかでロマンチックなイメージとは裏腹に、特にパリの一部エリアではスリや詐欺・暴行事件(特にアジア系に対して)が多発し、観光客もその被害に遭いやすいのが現実です。

観光エリアではスリや詐欺が特に目立ち、「愛と芸術の都」という期待とはかけ離れた現実に驚かされることが少なくありません。

こうした治安の問題に直面することで、美化された「理想のフランス」とのギャップに戸惑い、パリ症候群を引き起こしてしまう人もいるのでしょう。

あとは僕自身フランスに行って驚いたのは、街中で喧嘩している人たちが多いことです。

実際、僕が南仏のニースに訪れた時は、駅のホームで男性3人が殴り合いの大げんかをしている場面を目にしました。どんな事情があったのかはまったく想像もつきませんが、大の大人たちが殴り合いの大げんかに発展することはそうそうないと思います。少なくとも日本では殆ど見たことがない光景なのでとてもビックリ!

ほかにもパリでは、芸術的なストリートアートがある一方で、無許可の落書きも少なくありません。特に地下鉄の入り口や商店のシャッターなどには落書きが多く、観光客のあいだでも「パリは意外と荒れている」という印象を持たれることがあるようです。

地元民も困っている点ではありますが、残念ながら完全に対策しきれていないのが現状。

こういう治安の悪さもまた、フランスの多面的な一面を表しているのでしょう。

パリではありませんが、、、
リヨンのヴィルールバンヌを通っている道路の壁には落書きがたくさんされていました

「おフランス」を越えて

フランスの現実には、僕たちが「おフランス」に抱くロマンチックな幻想とはまったく違う側面が多く存在します。

文化的多様性や治安問題など、そこには理想だけでなくリアルな課題や状況も隠れています。

観光客や留学生がフランスに憧れて渡航する際、期待と現実のギャップに戸惑うことは珍しくありませんが、それこそがフランスという国の本当の魅力であり、奥深さといえるのではないでしょうか。

フランスは美しさだけでなく、過去と現在が交錯する多様性と現実が共存する国です。そんな複雑で多層的なフランスの姿に触れたとき、「おフランス」というイメージの枠を超えた新たな発見ができるかもしれません。

もしフランスを訪れる機会があったらぜひ固定観念に縛られず、そのリアルな一面にも目を向けてみてください!

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