欧州放浪記⑦ ~恐怖のロバタクシー~

2月9日(木)朝

サントリーニ島最終日です。今日は改めてフィラの街を探索していきます。

☝前回のあらすじ
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  1. フィラの日常
  2. ロバタクシー
  3. 寂れた古港
  4. サントリーニの町中華
  5. 愛の南京錠

フィラの日常

泊まっていた宿からフィラの中心街までは1kmちょっと、かなり近いです。ここで昨日の朝借りたレンタカーのスマートを返却、そのまま歩いてフィラの中心街まで向かいます。

イア同様、フィラも迷路のように入り組んだ路地が特徴的で、どの道を進んでも次に何が現れるか予測できないワクワク感があります。

フィラも大きな街で観光客がたくさんやってくるところなので、お土産屋さんやレストランが一通り揃っています。ただ閑散期なので、やはりここも閉まっているお店が多かったです。街を歩いていてもしーんとしていてなんだか寂しい。

ときたま何人か、地元の人らしき人たちが路地で井戸端会議しているのを見かけました。これが本来のサントリーニの様子なのかもしれません。観光客がほとんどいない時期だからこそ、地元の人々の日常の1コマを垣間見ることができました。

そんなことを思いながら路地を進んでいると、道ばたにひと際目立つ存在が!たくさんのロバが道ばたを歩いているのです。

しかもどうやら荷物を運んでいるようで、ロバの近くには作業員の姿が。建築資材?らしきものがロバの荷台に積まれていました。興味を引かれ少し近づいてみると、建物の補修工事が行われていました。フィラの街並みを美しく保つために、オフシーズンの誰もいない時に静かに進められているのです。

サントリーニ島には、長いあいだ人間とロバが共存してきた歴史があります。狭い道や急な坂が多いサントリーニ島では物資運搬や、移動手段としてロバが大活躍していました。階段の多いフィラでは手押し車も使えないし、人力で重い荷物を運ぶのはすごく大変なので、ロバたちが重宝されたわけです。

観光シーズンにはとんでもない数の観光客がやってきて賑わっているのだと思いますが、この時期は人影もまばら。あたかも街が一息ついているかのようで、ロバたちの足音や作業員たちの声が静かに響く風景は、この時期にしか感じられない特別な雰囲気でした。

ロバタクシー

工事現場を横目に、港へ続く路地をさらに奥へと進んでいくと、またしてもロバが佇んでいました。

今度のロバは先ほどのロバとは少し違うようで、綺麗な鞍がつけられていました。騎乗用なのかなと思いながら見ていたらロバの横にいたおじさんに、

 ロバに乗ってみないか?

と声をかけられました。なんとロバに乗って、長い階段を下った先にあるフィラの古港までいけるというのです。1回10ユーロでこのロバタクシー(donkey taxi)に乗れるみたいです。ロバに乗る機会なんてほとんどないだろうし、せっかくなので乗ってみることにしました。

早速、ロバに乗っていざ出発!

乗せてくれたロバちゃん

ロバに乗るのは初めてでしたが、ロバの背中から見下ろす景色はとても新鮮味があって感動です!、、、がそれと同時に幾ばくかの恐怖心も感じました。何より想像以上に怖いのです。

実際に行ってみると結構怖い

フィラもイアと同様、崖の上にある街なので景色は息を呑む美しさがあります。しかし、崖の上にいるので想像以上に恐怖感も伴います。

ロバに跨るのは初めてのこと。動物に乗る経験が殆どない僕にとって、最初はバランスを取るのがなかなか難しく、飼い慣らされているとはいえ、自分の足でロバの体を跨ぐ感覚はどこかぎこちない感じでした。

景色自体はというと圧倒的で非常に綺麗でした。眼下に広がるエーゲ海の美しさには息を呑むほどです。この絶景を写真に収めたいなあ、という気持ちが次第に募ってきましたが、そんな余裕は僕には微塵もありませんでした 笑

スマホをポケットから取り出して写真を撮るなんて、とてもじゃないですができる状況ではなく、ただ必死にバランスを保つことに集中するしかありませんでした。

約20分かけて下っていくとついに階段を下りきり、港へたどりつきました。ロバにお礼を言い、別れを告げて港の方へ散策していきます。

さて、そんなロバタクシーですが、後日Google Mapsのレビューを見てみると平均評価が1.6/5(584)とかなりの酷評でびっくり。

内容を見てみると低評価レビューの殆どに「ロバタクシーは動物虐待だ」というコメントが書かれていました。

「動物虐待に加担するな!」や「恥を知れ」など激しい言葉で非難する声も多く見られる
Google Mapsから引用

繁忙期になるとロバたちも忙しくなり、負荷はとても大きいものだというコメントも多く見受けられます。

実際、僕が体験したのはオフシーズンだったため、ロバたちは比較的リラックスしているように見えましたが、観光客が押し寄せる夏ではロバが猛暑の中、どれだけの重労働を強いられているのか想像するのは難しくありません。

観光地の名物として楽しまれているロバタクシーですが、いずれにしても人間のエゴによってロバたちが振り回されているという現実があるということを、改めて実感させられました。

★ Point ★

10万8千人を超えるオンライン署名の結果、ギリシャの農村開発省(MRDF)は2018年に100kgを超える荷物を動物に載せることを違法とする法律を制定しました。これにより、体重100kgを超える人は事実上、ギリシャでロバに乗ることができなくなることに?

寂れた古港

ロバタクシーの停車所からフィラの古港は非常に近く、わずか100mほどしかありません。一本道なので迷うことなく到着できます。

この古港はサントリーニ島の海の玄関口として現在も重要な役割を果たしており、繁忙期にはクルーズ船や周遊船のお客さんで人がごった返しているそうです。

残念ながら閑散期はお店はまったくやっておらず、まるでもぬけの殻状態。

お土産屋さんも閉まっていて、店員さんもいない

バーやレストラン、カフェらしき建物がいくつかありましたが、どれもシャッターが閉められていて、まるで時が止まったかのような静けさが漂っています。自動販売機のようなものもありましたが、商品棚は空っぽ。

周囲には人の気配がなく、聞こえるのは人のいないお店から出てきた野良犬?の鳴き声と波の音だけ。それがかえって寂しさを募らせているようで、この静かな古港の雰囲気を一層強調しているように感じました。

ちょっと一人になりたい、とか落ち着きがほしい人にとってはうってつけの場所かもしれませんね 笑

スペシャルアイスクリームがすごく気になる 笑

こういうわけでオフシーズンの時は、港周辺では飲み物や食べ物をふくめ一切何も買えないと思っていた方がいいです。なので街へ戻る時に喉が渇いたりお腹が空いたりしないように、飲み物や何かつまめるようなものを少し持っていくのがオススメ。(というのも港から街まで588段の階段があり、上りきるのに2-30分はかかるから)

下から上を見るのは案外怖くない

海を見てみるとゴミがあまりなく割と綺麗で、場所によっては透き通っているところもありました。オーバーツーリズムが問題になるほど観光客が大量に押し寄せている、と聞いていたので良く管理されている方だと思います。

文字通り自分たち以外誰もいないしせっかくなので、20分くらい港でくつろぐことにしました。波の音に耳を傾け、心地よい海風を感じながらリラックス。

世界的に有名な観光地でも、人混みを気にせずにゆっくりできるのが閑散期に観光する最大のメリットだと思います。この時期ならではの静けさと、フィラの美しい景色を独り占めできるのは、まさに贅沢そのもの。

そうこうしていると気付いたら12時を回っていました。腹の虫も鳴いてきた頃なのでそろそろ街へ戻ります。

サントリーニの町中華

さて、フィラの街~古港、古港~フィラの街へのアクセス方法は、主に3種類あります。

春・夏・秋はケーブルカーというチートが使えるので、ケーブルカーが圧倒的におすすめです。6ユーロなのでロバタクシーよりも安い上に速い。

残念ながら冬期は運休となるので、港へ行くにはロバタクシーか徒歩で階段を行き来するしかありません。

今回は、下りはロバタクシーだったので、上りは徒歩で行くことにしました。本当だったら下り徒歩で上りロバタクシーの方が圧倒的に楽だったのでしょうが、、、

なかなか足が痛くなるので、ちゃんとした靴を履いてくることを強くオススメします!

街から港までは直線距離だと約300mです。地図で見ても近いように見えますね!ですが、実際に歩く距離はなんとその3倍の約900mとなります。フィラの街は標高が200mを超えるので、どうしても歩く距離が長くなってしまうんです。

先ほどもちらっと言いましたが、街へたどりつくには588段の階段を上りきる必要があります。途中休憩することもあるでしょうから、港から街まで歩いて行くなら、余裕を持って30分くらいかかると思っておいた方がいいでしょう。

やっと到着!

階段を上ったらさらにお腹が空いてきちゃいました。そう思ってレストランを探しているとどこかで嗅いだことのある美味しそうな香りが。ふと横を見てみると町中華があるではありませんか!

お客さんが誰もいなかったので、ここも閉まっているのかなと思ってましたが、中から3人くらい従業員が出てきて案内されました。海外で中華料理を食べるのは何気に初めてでドキドキ。看板を見ると「China Famous Foods 溢香居」と書いてありました。

テーブルに着くと、同時タイミングで僕らと同い年くらいの中国人女性二人組が入ってきました。中国本土でも有名なのでしょうか。楽しみです。

炒飯が食べたい気分だったので、野菜炒飯(Vegetable fried rice:蔬菜炒飯)を注文しました。料金は6.80ユーロ(約1100円)

味も見た目も、日本で食べる炒飯とあまり変わらず美味しい

15分~20分くらい待っていると炒飯が来たので早速ぺろり。海外の中華はどんな味だろうと思っていましたが、ザ・炒飯という感じで期待を裏切らない味でした。普通に美味しい!

「ファストフードと町中華はどこ行ってもハズレがない」というフレーズをよく聞きますが、その通りかもしれません。実際、当たり外れが少ないように感じます。そして、殆どのレストランが閉業している中、閑散期でも営業しているのはかなり有り難いですね。

隣の席に座った中国人女性二人組も美味しかったのか、満足そうな顔をしていました。また是非食べに行きたいですね。

★ Check ★

名称:China Famous Foods 溢香居
Google評価:4.4/5 (726レビュー)
営業時間:11時00分~23時00分
価格帯:1000円 - 3000円

愛の南京錠

お腹も膨れたところでもう少しフィラの街を探索。サントリーニ島への滞在は2泊3日、今日でお別れです。なのでお土産を買っておきます。

ちょうど溢香居のすぐ真ん前に小さいお土産屋さんがあったのでそこでマグネットを購入。サントリーニ島の街並みが描かれていてとてもおしゃれです。

何故かレアル・マドリードのンバッペのTシャツが売ってありました

お土産を買って崖沿いの路地を進むと、街を一望できる丘みたいなところに到達。景色を見ようとするとふと、南京錠がたくさんかけられたフェンスが目につきました。

よく見てみると、「永遠に」と書かれた南京錠がいくつも掛けられています。どうやら「愛の南京錠」のようです。カップルが永遠の愛を誓って鍵をロック(つまり恋人同士が離れないように願っている)しているのです。

僕にはまったく関係のない無縁の話ですが、なんだかとても神秘的だなあとしみじみしてしまいました。

ハート型の南京錠もあっておしゃれです

そんなこんなで気付いたら15時を回っていました。アテネ行きの飛行機の搭乗時間は20時55分。名残惜しいですがそろそろサントリーニ島を離れる準備をしなければなりません。フィラの街からそのままバスで空港へ直行します。

アテネへ戻ったら、そのままレンタカーを借りてギリシャを1周する予定です。次回はアテネ到着~レンタカー借用方法について詳しくお話ししていこうと思います!

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