娯楽の多様化が進んだ今、テレビを観る人たちは年々減少していっているそうです。
僕もそのうちの一人ですが、YouTubeや動画配信サービスが主要な娯楽の一つとなる前の時代、つまり僕が子どもの頃は、よく毎日のようにテレビを観ていました。特に「金曜ロードショー」はすごく楽しみにしていた記憶があります 笑
ただドラマはあまり観たことがなく、親が観ていたのをたまに観ていたくらいなのでわからないものが殆どなのですが、むかし子どもの時に観ていたドラマに強烈なインパクトを受け、いまでも鮮明に覚えている作品があります。
それが「女王の教室:2005」と「家政婦のミタ:2011」です。(どちらも遊川和彦脚本)
当時視聴率がとても高く、大ヒットした名作であるため、観たことがあるという方も多いかと思います。
「女王の教室」は小学校を舞台とした学園ドラマで、「家政婦のミタ」は感情を持たない家政婦が、崩壊寸前の家族を再生させていく作品です。「家政婦のミタ」に関しては僕が通っていた小学校の多くの生徒が観ていた記憶があります。最終回の視聴率も40%を超えていましたし、子ども大人関係なく多くの人が引き込まれたドラマだと思います。
そんな二本のドラマですが、大人になってから観返してみるとこの二本のドラマってすごく似ていて共通点が多いなと感じました。勿論脚本家が同じ遊川氏であることもそうですが、主人公の特徴やドラマのテーマ、ストーリー性に多くの共通点があると思うのです。今回はこの二本のドラマを通じて、いわゆる名作と呼ばれるドラマとは何かを書いてみたいと思います!
“ぶっとんだ”主人公たち
ご存知の方も多いかと思いますが、改めて「女王の教室」と「家政婦のミタ」の主人公たちを紹介します。
何でもこなせる完璧主義者

日本テレビHPより

日本テレビHPより
マヤ(小学校教師)とミタさん(阿須田家の家政婦)は何でも完璧にこなせる圧倒的な能力を持っています。ダンスがプロ並みだったり、勉強がずば抜けてできたりと、とにかく万能な彼女たち。感情を滅多に他人へ見せないことから、作中ではミステリアスな存在感を放っています。
両ドラマの登場人物は、そんな独特で”ぶっとんだ”主人公の存在感によって成長していき、ドラマを観ている視聴者もそんな彼女たちの存在に引きつけられています。
「息子の死」・「家庭崩壊」という過去のトラウマ
マヤの息子・翔は、受験勉強をマヤから強制されていてストレスでチック症を患っていました。そんな中、翔は綺麗な蝶をマヤに見せてあげようと追いかけ、その結果不幸なことに川で溺れて亡くなってしまいます。
マヤの旦那は、翔の死は過酷な勉強を強制したマヤのせいであるとして離婚。夫も失い家庭崩壊に陥ってしまいました。
一方でミタさんも夫と、息子の純を失った経験があります。ミタさんの弟によって家ごと放火されてしまい家族を殺され、未亡人となってしまいました。
その後ミタさんは実母と夫の家族から事件の全責任を押し付けられ、葬式の時に「死ぬまで二度と笑うな」と言われ二度と笑わないと誓うようになります。
このように二人とも過去に対するトラウマを抱えており、この経験が二人の行動や信念の背景となっています。
目的達成のためなら何でもする
マヤは生徒たちの成長と自主性を促すために、ミタさんは家庭崩壊した阿須田家を立て直そうとするために、時には世間からみたらむちゃくちゃなことをします。
- 自分に逆らった生徒に罰を与える
- テストの成績だけで生徒を順位づける
- 授業中に生徒をトイレへ行かせない
ふつうに考えれば体罰のようにも捉えられるマヤの教育方針や信念は、厳しすぎて残酷なように思えます。事実、生徒たちも初めはマヤに反抗していました。まあ小学6年生でこんな先生に当たったら確かに反抗してしまいますよね 笑
しかし物語が進んでいくにつれて生徒たちは、マヤの指導が自分たちを思ってのことであることに気付き、次第に自立心や問題解決能力を身につけていきます。教師自らが生徒たちの”壁”になり立ちはだかることでマヤは、厳しい社会の中で生き残る術を生徒たちに教えていたのです。
―父親の不倫、それが原因で起こった母親の死をきっかけに崩壊した阿須田家に家政婦としてやってきたのがミタさん。業務命令がたとえ犯罪行為だったとしても、頼まれたら何でもするミタさんは常識外れなことも平然と行います。
阿須田家のみんなはそんなミタさんの突拍子もない行動に振り回されつつも、ミタさんとの関わりを通じてそれぞれ成長し、自分自身の問題と向き合っていくようになります。特に、父親の恵一は家族のことを真剣に考え直し、父親としての役割や責任を果たそうとする姿勢が作中で窺えます。
マヤたちが自らの過去に大きなトラウマを抱えていること、冷徹に見えるマヤたちが実は生徒たちや阿須田家に対して深い愛情を持っていることが明らかになるところが、視聴者の心に強く響いていると思います。
マヤの厳しさの裏にある生徒たちへの愛情や、ミタさんの冷徹さの裏にある過去の痛みが物語により一層深みを与えているのです。
社会に対するメッセージ
日本のドラマは時に「つまらない」といわれることがあるそうです。
それは刑事ドラマや日常系のドラマが多いからと言われていますがその通りだと思います。似たようなテーマや展開の繰り返しが多くて、新鮮さに欠け、視聴者が飽きがちだからです。
しかし、「女王の教室」と「家政婦のミタ」は違います。
教育と家族という、視聴者にとって身近なテーマを題材にした作品であるため、子ども大人関係なく多くの人が興味を持ちやすく、引き込まれていくドラマなのです。社会問題は普遍的なテーマであるため、ドラマを観ている視聴者も考えさせられるような内容のものが多いです。
特にマヤが作中で発した”名言”は、放映されて15年以上たった今でも話題になっています。社会の厳しさ、努力すること・自立することの大切さをマヤは、生徒たちだけではなくドラマの視聴者にも強烈に訴えており、今を生きる私たちにも刺さるものがあります。
子どもの頃は何となく「面白かった」で済ませていた「女王の教室」と「家政婦のミタ」でしたが、大人になってから観返してみると様々な気付きや発見がありました。こういった作品が、名作と呼ばれるドラマなのではないかと感じました。