みなさんは「YOASOBI」をご存知ですか?
「YOASOBI」(ヨアソビ)は2019年に結成されたJ-popバンドで、作曲担当のAyaseと歌い手の幾多りら(いくらちゃん)で構成されているバンドグループです。YOASOBIはデビュー曲の「夜に駆ける」で一世を風靡し、2020年にはNHKの紅白歌合戦に出場しました。そのためYOASOBIを知っている、もしくはお気に入りだという方もかなり多いのではないかなと思います。ちなみに僕もYOASOBIの曲が好きで、特にいくらちゃんは推しです笑
歌い手のいくらちゃんが英語ペラペラなこともあってか、YOASOBIでは海外でも人気なグループとなっています。Spotifyの「2021年に海外で最も再生された日本のアーティスト」でYOASOBIは1位を獲得していて、海外で最も多く再生された日本の曲ランキングではYOASOBIの「夜に駆ける」が3位となっています。そしてなんとYOASOBIの「怪物」は、アメリカのニュース雑誌であるTIMEの連載、「2021年のベストソングランキング」でなんと5位に選出されているんです!
このように一世を風靡したYOASOBIですが、今回はなぜYOASOBIが国内外問わず多くの人々、特に若者の心を掴むことができたのか、その理由を考察してみます!
* この考察は僕の完全な私論に基づいたものですので、誤りや誤解がある可能性があることをご了承下さい。
YOASOBIがヒットした背景
どのようなことでも、物事の裏側にある背景を知ることは物事を理解する上でとても重要なことです。そこでまずはYOASOBIがヒットした時代背景についてちょっと触れておきたいと思います。
YOASOBIが結成されたのは2019年10月1日で、ヒットしだして有名になってきたのが2020年の2月から4月にかけての頃だったかなと思います。本当につい最近ですね。
ちょうどこの時、当時は未知のウイルスである新型コロナウィルスが世界各地に蔓延しはじめた頃で、世界中が恐怖に包まれていました。通勤はリモートに、学校はすべてオンラインに切り替えられた時期で、皆さんの記憶にも新しいかと思います。とりわけオンラインで行われた学校の授業は学生たちの繋がりを希薄にし、そこから生まれた孤独感から自殺という選択肢をとる人も中にはいました。
そんな混沌とした中でYOASOBIの曲はヒットしていきました。
YOASOBIのヒット曲の一つである「夜に駆ける」は自殺願望のある登場人物が心中していく姿をテーマとしているのですが、これはコロナ禍で孤独を感じ、絶望している若者の姿と重なっているところがあるといえます。ちなみに、この曲がヒットしたのは新型コロナウィルスがちょうど蔓延しだした時のことでした。
◯◯を音楽に取り入れるという前衛的な試み
「小説を音楽にする」
これはYOASOBIが掲げているメインテーマで、小説に描かれた世界観や物語をそのまま楽曲に反映させようというものです。たとえば、代表作の「夜に駆ける」は星野舞夜の「タナトスの誘惑」という小説がモチーフとなっており、小説のストーリーや世界観が「夜に駆ける」の歌詞に映し出されています。
この「小説を音楽にする」という試みは僕が思うに、YOASOBIがパイオニア的存在であるため極めて前衛的な取り組みであるといえます。
楽曲に背景をつけさせることでより深みが増し、楽曲としての価値が生まれているのです。
これによってYOASOBIは他の音楽グループとは差別化されたグループとなることができ、より人気を博したのではないかと考えられます。
◯◯をテーマとした楽曲
YOASOBIが好きな人やYOASOBIの曲をよく聞く人は既にお分かりかと思いますが、YOASOBIの楽曲には恋愛をテーマとしたものがとても多いです。
最近は「若者の恋愛離れ」という言葉をよく小耳にはさみますが、それでも若者といえば「恋愛」や「青春」を思い浮かべる人も多いんじゃないでしょうか。曲の歌詞からも聴いてわかるように、YOASOBIの曲は主に10代から20代の若者がターゲットに絞られていて、恋愛をテーマにしたまさに若者受けするような曲風となっています。
またYOASOBIの作曲担当であるAyaseはもともと若者を中心に人気となっていたボカロの曲を手がけていたこともあり、よりいっそう若者の支持を得ることができたのではないかと思います。
◯◯の上手さ
ここまでYOASOBIがヒットした理由を紹介してきましたが、その秘密は楽曲の中にもありそうです。実際にYOASOBIの曲は転調が非常に美しく行われています。
転調とは曲のメロディの音階(キー)が変わることで、世の中に存在するありとあらゆる楽曲に使われています。
たとえば、宇多田ヒカルの「First Love」。ちょっと古いけどとても有名な曲。この曲にも転調が使われていて、曲の最後の方でG(ソから始まる調)からA♭(ラ♭から始まる調)に調が変わっています。
通常、転調は曲の元々のキーの半音上のキーに調が変わるのですが、YOASOBIの曲には半音下のキーに転調する曲があります。
「夜に駆ける」がその一例で、この曲は後半のサビで半音下に転調した後に全音、つまり二つ上に転調するんです!いったん曲風が落ちたなと感じさせた後に全音転調することによって、クライマックスを盛り上げる効果があります。
このような「一度下げて最後で上げる」という転調のカタチはこれまでの音楽ではあまり見かけないもので珍しいものでした。YOASOBIが大ヒットした理由にはこうした巧みな音楽技術にもあるといえます。
いくらちゃんの◯◯◯の良さ
最後にボーカルのいくらちゃんの歌唱力のよさについてです。
YOASOBIの中で僕が一番感動したのはいくらちゃんの歌唱力なんです!彼女の声はとても透き通っていて、曲を聴いていてもとても心地の良い歌声だなとわかるくらい凄いんです!歌唱力の良さも人々の心を惹きつけているのかなと思います。
他にも上で書きましたが、YOASOBIの曲を手がけるAyaseがボカロの曲を作っていることもあって、YOASOBIの曲風には少しボカロらしさが出ています。しかし、そのボカロらしさの中にいくらちゃんの息継ぎの音などを入れていることで機械音と人間味を併わせだ特徴的な楽曲が生み出されています。こうした作りもとても魅力的で、より印象に残りやすいものだと感じました。
以上の理由からYOASOBIはこれまでの作家とはひと味異なった、新鮮味のある音楽グループとして人気を集めることができたのだといえます。YOASOBIが誕生した時代的背景もありますが、何よりもYOASOBIの天才的な音楽技術があってこそここまで大ヒットすることができたのです。
参考資料
・マイナビニュース (2021.12/06),「YOASOBI、Spotify『今年海外で最も再生された日本のアーティスト』で1位」
・Andrew R. Chow, Cady Langtime. TIME (2021.12/5), “The 10 Best Songs of 2021“